設置趣意書

1.設置の趣意

 現代の社会は電力,通信を始めとする多種多様な電気の利用で支えられ,電気文明と言うべき時代を画している.このような電気の利用によって,我々の生活環境は,様々な電磁界で満ちあふれ,それに伴って各種の電磁環境問題が発生し,電気,通信エレクトロニクス,情報における大きな研究分野に発展した.
 従来,電磁環境(以下EMCと略称)に関しては,電子情報通信学会に環境電磁工学研究専門委員会(EMCJ委員会)があり,電気学会A部門で電気物理技術委員会の傘下にある同名の専門委員会を事実上兼ねて研究調査活動を行ってきている.しかし,EMC問題の多様化と近年の発展を背景に,電気学会の技術委員会としてより体系的な研究調査を推進することが望ましいという意見が強くなった.
 第一に上記のEMCJ委員会の活動は,通信,エレクトロニクスのいわゆる弱電分野を主たる対象としており,高電圧,大電流やパワーエレクトロニクスのEMCへは十分に手が回らなかったことがある.第二にこれまでの活動は研究会における研究発表がベースとなっており,課題毎の総合化した調査と異なることである.第三はEMCの発生原因である高電圧,大電流,電力機器などいわゆる強電分野の技術者の参加によって,電子情報通信学会の研究活動を相互補完し,より有用な研究活動になり得る可能性がある点である.
 このような事情を勘案すると,電気学会に標記技術委員会を設置してEMC問題の総合化した研究調査を行うことは,この分野の発展に寄与するばかりでなく,電気学会の活性化にも大いに役立つと考えられる.

2.設置の目的

 新技術委員会の目的は次のとおりである.

(1) 電磁妨害の発生要因ならびに実態に関する研究調査
(2) EMCのための計測技術と対策技術の確立
(3) 関連分野の活性化と関係技術者の育成
(4) 電気学会会員への情報と知識の提供
(5) 電気学会ならびに他学会の関連委員会との交流による当該分野の技術の向上への寄与

3.予想される効果

 本委員会の新設によって次のような効果が期待される.

(1) 高電圧,大電流などEMC関連研究分野の拡大,活性化への寄与
(2) 電気学会及び他学会のEMC関連委員会との交流の活発化への寄与
(3) EMC関係技術の情報・技術の高度化,特に電磁妨害対策の向上への寄与
(4) EMC関係の情報の電気学会会員ならびに一般社会への普及
(5) 関連国内外の新規格制定を含む,国際化対応への支援

4.活動範囲と活動内容

 新設技術委員会の研究調査の活動範囲は次のとおりである.

○ 電磁妨害の発生要因(高電圧,静電気,大電流,放電,パワーエレクトロニクス機器など)と対象設備
○ 電磁妨害の発生実態
○ EMCのための計測技術
○ 電磁妨害の対策技術
○ 国内外のEMC関連規格
    また次のような活動を行う予定である.

(1) 技術委員会開催 (年4回)
(2) 幹事会の開催 (年4回)
(3) 調査専門委員会

 現在まだ確定していないが,活動範囲の発生要因,実態,計測技術,対策技術などから調査専門委員会を順次設立することを予定している.しかしEMC問題が多種多様な現象に関連することから,まず強電分野の全般的包括的調査と問題点の把握を行うのが望ましいと考えられる.そこで,はじめに「電力分野におけるEMC問題調査委員会」を平成11年度に設置し,活動を開始する.

(4) 研究会の開催(年に1~2回程度)
(5) 他学協会や他委員会との交流

 電子情報通信学会の環境電磁工学研究専門委員会(EMCJ委員会)との研究調査の協力など

5.活動開始時期

 平成11年(1999年)4月~

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