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住宅におけるエネルギー消費量の実測調査と省エネルギー行動の誘発
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●研究の背景

 今日、私たちは化石燃料の枯渇や地球温暖化等の環境問題を抱え、年々増加の一途を辿っている民生部門、特に住宅における省エネルギーを図ることが早急な責務となっています。省エネルギーの方策として、高効率のヒートポンプや、コージェネレーションシステムを住宅に導入すること等が考えらます。しかし、有効性の検討にはエネルギー消費実態がわかっている必要があるにもかかわらず、まだ十分に明らかとなっていないのが現状です。そこで、住宅におけるエネルギー消費に関する計測調査を実施し様々な分析を行っています。


●研究の概要




図1 計測システムの構成






図2 世帯別の年間エネルギー消費量






図3 ECOISの表示画
 計測調査では世帯全体の電力及び都市ガス消費量と、主要な電気機器の電力消費量、灯油消費量、室温を計測しており、図1のようなシステム構成をしています。1998年から関西文化学術研究都市(京阪奈地域)、和泉市(大阪府)、吹田市(大阪府)を対象として計測しています。標準世帯(夫婦、子供2人)を中心に、今までに合計で一戸建て住宅87軒、集合住宅71軒計測しました。計測したデータは暖房やテレビなど8つの使用用途に分解します。図2は和泉市の一戸建て住宅で計測した世帯の年間エネルギー消費量を示しています。年間のエネルギー消費量の大きさは世帯によって様々であり、使用用途の割合も給湯分が大きい世帯や、暖房分が大きい世帯等、世帯によって大きく異なっています。


●主な研究成果

 住宅で消費しているエネルギーに関する情報を需要家にフィードバックすることにより省エネ意識を向上させる新しいオンラインシステム「エネルギー消費情報提供システム:ECOIS」を開発・設置し、誘発される省エネ行動による消費量の削減を試みました。ECOISは収集した電力や都市ガスのエネルギー消費の情報を大学で加工し、需要家宅に設置したノートパソコンに配信します。需要家が見たい機器や日にちを選択すると、それがグラフで分かりやすく表示されるようになっています。また、グラフの下には省エネアドバイスを表示し、省エネ行動を促しています。需要家端末を設置した世帯と設置しなかった世帯に対し, その設置前と設置後の期間のエネルギー消費量の比較を行ないました。冬期に需要家端末を設置した世帯では、使用する暖房機器を変更する、電気ポットの保温時間を減らす、テレビの待機時にコンセントを抜く等の行動が見られました。こういった需要家の省エネ行動によって、平均で世帯全体の電力は約12.5%、都市ガス消費量は約17.7%減少しました。詳しくは主要論文2)をご覧ください。
これ以外にも、用途別に分解した計測結果を用いて、ヒートポンプや燃料電池を用いた家庭用コージェネレーションといった新エネルギーシステムの導入評価等様々な分析を行っています。


●主要論文

1) 佐野,鈴東,上野,佐伯,辻「住宅用用途別エネルギー消費日負荷曲線の推定-関西文化学術研究都市における計測調査報告-(その1)(その2)-」エネルギー・資源Vol.24 No.5 pp.347-353, pp.354-360(2003)

2) 上野,稲田,佐伯,辻「住宅用エネルギー消費情報提供システムによる省エネルギー-世帯全体のエネルギー消費に対する効果-」エネルギー・資源Vol.26 No.2 pp.139-145(2005)

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